米国の株価が下落して、僕の持ち株がマイナス43,236円。
なにかよくないことがあったらしい。
グロース種のハイテク系が大幅下落して、逆にバリュー種の金融系は上がったみたいだけど、それも限定的で、全体には大きく値を崩してしまった。
まだ含み損で、実現損益はプラスだけど、こんな地合いじゃ、もっと損がふくらんでしまう。
そんなことを考えながら、やっと眠りについた午前2時。
ドンッ!と持ち株が下落した悪夢で目がさめた。まくらもとで充電しているスマホを手探りでつかんで、iSPEEDアプリをタップする。かすむ目で「保有銘柄一覧」から米国株式を選ぶ。
明るいディスプレイに暗黒のマイナス4万円。
やっぱりだ。
なんでこんな下げ目の株たちを100万円も買っちゃったんだろう。イエレン財務長官は、なんでネガティブな利上げをするのだろう。イエレンはわかっちゃいない。イエレンの口に手をつっこんで、奥歯をガタガタいわせたい。
そんな僕がいる。
こうして布団にくるまってるあいだも、僕のドル資産はゆるやかに溶けている。ニューヨークの雑踏のなか、人混みをすりぬけてあるく僕のドル資産。ブロードウェイのビル風にあおられ、国旗のようにたなびく僕のドル資産。
このまま円高なんて流れまできたら、ますますヤバいことになる。僕のドル円が、古びた革靴のソールのようにすり減ってしまう。
僕はスマホのスイッチをオフにして放り投げ、また布団にもぐりこんだ。
そして「もう、どうにでもな〜れ」と、つぶやいて、眠りについた。